バレた!?

●弱り目にたたり目

 先週18日に初めて公開された日本政府の公文書が、世界中のメディアの注目を集めている。

 麻生首相の父・太賀吉氏が経営していた旧「麻生鉱業」(現在の麻生グループ)の福岡・吉隈炭坑に戦時中、300人の外国人捕虜がいたことが記載されている公文書だ。厚労省民主党藤田幸久参院議員の請求に応じて“発掘”した資料で、同省の地下倉庫に戦後63年間、ほこりをかぶって眠っていた。

 この資料が注目されるのは、麻生首相が外相時代についた“ウソ”がバレたからだ。

麻生鉱業の捕虜問題は、首相が外相当時の06年に米紙NYタイムズをはじめ、英、豪などのメディアが取り上げました。終戦直後に日本政府が連合軍に提出した報告書に、麻生鉱業が外国人捕虜に労働を課していた詳細な記録があったからです。これらの記録は米国立資料館などに保管されていますが、麻生首相は外相時代から麻生鉱業に捕虜がいたことを一貫して否定してきたのです」(外交関係者)

 ボスの意向をくんだのか、命令だったのか。外務省は当時のNYタイムズの報道に、在NY総領事館のHP上で「当企業(麻生鉱業)が強制労働に関与したとの情報は得ていないと承知している。NYタイムズが証拠なしにこのような誹謗(ひぼう)を行うとは、はなはだ遺憾である」とまで書いた。その“ウソ”が、今度は日本政府の文書でバクロされてしまったわけだ。

 決定的証拠が見つかり、外務省は慌てて反論文をHPから削除したが、NYタイムズや英紙タイムズなどは早速、今回の問題を大々的に取り上げ、麻生首相の政治姿勢を批判している。藤田幸久議員が言う。

「捕虜問題について、私は先月13日の参院・外交防衛委でも取り上げました。その時、首相は『事実関係は確認されていない』と答弁した。事実関係がハッキリした以上、この問題への見解や反論文掲載の経緯などを改めて首相本人の口から説明していただく必要がある。外務省は当時、反論文を掲載したのは麻生外相の指示だとしている。国会で徹底追及していきます」

 日本どころか、海外メディアまで敵に回した麻生首相。いよいよ、ジ・エンドか。

日刊ゲンダイ2008年12月22日掲載、nifty