首脳の報酬

 麻生首相がこだわる「日本の総理大臣」の年収とはどのぐらいのものなのだろうか。世界各国の首脳の報酬と比べながらみてみたい。

「あと20年、総理ができるかな」――。麻生首相は14日、山口武平・自民党茨城県連会長の米寿を祝う会に参加した際にこんな「冗談」を言ったようだ。この「20年」発言は68歳の首相が山口会長にあやかり、米寿でも現役を続けていたいとの願いが込められていたということだが。

 支持率が20%以下に落ち込み苦しい立場の首相だが、可能な限り長く続けたいというのは本音だろう。では麻生首相がそこまでこだわる日本の総理大臣の年収とはどのぐらいのものなのだろうか。世界各国の首脳の報酬と比べながらみてみたい。

 総務省の資料によると麻生首相の年収は4022万円。08年9月に就任し、まだ半年にも満たないが通年で換算するとこの額になる。日本の上場企業の取締役では年収が1億円を超えるケースも少なくないので、メディアに叩かれ激務にさらされる国家のトップの報酬としては見合わないと麻生首相自身は思っているかもしれない。

 しかし世界の政治リーダーの1年間の報酬をみてみると退任を間近に控えた米国のブッシュ大統領は40万ドル(3600万円)、英国のブラウン首相は34万ドル(3100万円)、フランスのサルコジ大統領は32万ドル(2900万円)と軒並み麻生首相よりも下回っている。またインドネシアのユドヨノ大統領は2万7000ドル(240万円)、フィリピンのアロヨ大統領は5800ドル(52万円)と日本のサラリーマンの平均年収より低い。これらの額は政治家としての報酬で、個人の資産運用や会社経営などの副業の収入は加算していないが、麻生首相の給料は世界の政治家の中ではトップクラスと言うことができる。他にも各都道府県の資料によると日本の国会議員の報酬は2193万円(08年)、東京都の石原都知事は2736万円(07年)、宮崎県の東国原知事は1482万(07年)となっている。

 ちなみに英政界を引退したブレア前首相は07年6月の首相辞任後に大手銀行の非常勤顧問や講演旅行で推定収入600万ポンド(約7億9800万円)を得たと報道されたことがあった。米国の08年のCEO(最高経営責任者)の平均年収も1420万ドル(12億7800万円)となっており政治家と比べると「超」がつくほど高収入だ。やはり政治家という職業は国家、国民のために働くことに充実感を得られるような人でないと務まらないのかもしれない。
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