後発医薬品

 調剤薬局を訪れた患者が、先発医薬品と後発医薬品ジェネリック)のどちらも選べる処方せんを持参した場合、後発品について常に患者に説明する薬剤師は7人に1人程度に過ぎないことが、後発品メーカー「沢井製薬」(大阪市)の調査で分かった。後発品の情報提供体制などに不満な薬剤師が多いことが背景にあるとみられる。

 厚生労働省は安価な後発品の使用を進めるため、薬剤師に対し、こうした場合は常に後発品の存在を説明するよう省令で義務づけているが、実際は説明が進んでいない現状が浮かんだ。

 同社は08年10月、全国の薬剤師300人にインターネットを通じてアンケートした。その結果、国の求める「常に説明」は14.3%(複数回答可)にとどまった。最も多かったのは「患者からたずねられれば」説明するとの回答で約51%。ほかに「患者の負担金が大きく減る場合」の説明が約17%、「時間に余裕のある時」が約13%。「説明していない」は約22%だった。

 一方で薬剤師に対し、後発品に関する製薬会社からの情報提供体制に満足しているかを聞くと、「満足」の約32%に対し「不満足」は約39%に達した。

 同社が同じ時期に全国の患者400人に行った別の調査でも、「後発品について説明を受けた」との回答は約15%だった。

 厚労省は、現状約17%の後発品の数量シェアを12年度までに30%以上に高め、医療費を約4300億円減らす目標を掲げている。しかし、今回の調査で薬剤師が患者に後発品を渡した割合は、処方せん全体の約11%だった。【渋江千春】

 ▽内田享弘(たかひろ)・武庫川女子大薬学部教授(臨床製剤学)の話 薬剤師は時間的余裕がない上に、後発品メーカーの数が多いため、何を基準に薬を選んで薦めたらいいのか分からず、患者に説明ができないのではないか。国が後発品使用を促進したいなら、もっと積極的に後発品を評価したり、安全性をアピールするなどして責任を果たすべきだ。後発品メーカーも具体的なデータを提示して信頼獲得に努めてほしい。

 【ことば】▽後発医薬品ジェネリック)▽ ある製薬会社が新規開発した医薬品(先発医薬品)の特許が切れた後、同じ有効成分で、別の製薬会社が作る薬。価格は安く、製薬会社によるが、平均で先発品の半額程度とされる。一つの先発品に30社以上が後発品を出す例もある。
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