AIGボーナス最高6億円超

 政府の支援を受けて経営再建中の米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)による高額ボーナス支給問題で、ニューヨーク州のクオモ司法長官は17日、幹部社員73人に1人当たり100万ドル(約9800万円)以上が支給されたことを明らかにした。

 世論の怒りを受け、政府・議会は賞与を取り戻す措置の検討を続けている。一方、AIGのリディ最高経営責任者(CEO)は18日午前(日本時間18日深夜)、下院金融サービス委員会で、支給の経緯などを証言する見通しだ。

 クオモ長官が同委のフランク委員長(民主)に送った書簡によると、賞与の最高額は640万ドル(約6億2700万円)。100万ドル超を受け取った73人のうち11人はすでに退社したとしている。

 ガイトナー財務長官は17日、ペロシ下院議長にあてた書簡の中で、司法省とともに賞与を取り戻す方法を模索していると説明した。しかし、現行法で賞与の支払いを阻止する権限が政府にないことはギブズ大統領報道官も認めており、すでに注入が決まっている300億ドルの追加公的資金からボーナス分を差し引く案も検討されている。

 議会では、ボーカス上院財政委員会委員長(民主)ら有力議員が、支給を受けた幹部社員に税率90〜95%の特別税を課税して、事実上全額を取り返すなどの立法措置の検討に入った。幹部社員に自主的な返還を迫る狙いがあるとみられる。

 一方、米メディアによると、ガイトナー長官がボーナス支給の計画を知ったのは今月10日。翌11日にリディCEOに電話で見直しを求め、12日にオバマ大統領に報告された。しかし、AIGは13日、幹部社員に総額1億6500万ドル(約160億円)のボーナスを支給しており、政府の対応が遅かったとの指摘もある。

 AIGは昨年9月以降、1700億ドルの公的支援を受けた。賞与の対象は、経営危機の原因となった住宅ローン担保証券に絡むデリバティブ金融派生商品)取引を扱う金融商品部門で、大統領は16日、あらゆる法的手段を使って支給を阻止すると表明した。
((ワシントン=渡辺浩生)産経ニュース、MSN)