酒井冬雪の恋愛力UP講座(男心について学ぼう)

 恋愛に器用な女の子と、恋愛にはどうも不器用な女子…ふたつのタイプを見ていると、ある違いに気づくことがあります。

 それは、男性への対応です。30代となり、(どうも私は恋愛に不器用みたいだ)と気づいた女性のみなさんは、たいてい男性に、間違った…というかあまりよろしくない対応をしていることが多いものです。

男子への対応のまずさを自覚したのは…

 こんなことを言うと「何よ、えらそうにさ」と思う方もいるかもしれませんが、私自身、自分で自分の「男子への対応のまずさ」に気づいたのが34才のときでした。

 34才のころ、私以外は全員男性ばかりという、ある勉強会に2年間ほど出席していました。あるとき、そこに集まっているメンバーで、キャンプ場でバーベキューをすることになったのです。

 メンバーの中には、ボーイスカウト出身で、薪を割り、飯ごうでごはんを炊き、ダッチオーブンで料理を作る本格アウトドア派の男性がいました。朝は弱いし、体力はないし、そういった場面では、信じられないくらい役に立たない私は、あれこれ指示されても、彼の納得のいく動きはできません。挙句の果てに、うどんスープが入った鍋をあっちへ運べと言われ(その前に、うどんの手打ちもさせられていた)、疲れてあまりにアタマにきたので、つい、
「こんなの、そこいら辺でブラブラしてる男どもに頼めばいいじゃないのっ」
と吐き捨てるように言ってしまいました。

「文句」を「お願い」に変換する

 すると、反論されることに慣れていないらしい彼の目がカッと吊り上がり、ふたりの間に緊迫した空気が流れました。
(まずい、目上の人にタメ口をきいた上に、キレちゃった)
と反省した私は、「さっき、うどんを打ったせいで、腕がだるくなっちゃったんです。あのスープ鍋を持ったら、落としてしまいそうで…」
と、本当に疲れていたので下を向いて、あきらめ感を漂わせて言いました。

 すると、どうでしょう。それまで、私のことを「使えないヤツ」という態度でコキつかっていた彼が、「ごめん、言ってくれればよかったのに!」と態度が激変したではないですか。
さらに、「サカイさんが疲れてるから」
と辺りをぶらぶらしていた気のきかないタイプの男性に力仕事を任せると、
「あっちに座っていなさい。温かいコーヒーを入れたから。ほら、バームク−ヘンを切ったから食べなさい…」
と、いたれりつくせりで、すっかりやさしくなってしまったのです。

 そのとき私ははじめて、
(そうか、男の子に甘えるのが上手な人って、反論したり怒ったりして言い返すんじゃなくて、弱ったりかわいくしたりして、こちらの思いをうまく伝えられるんだな)
と、理論上はわかっていたつもりのことをようやく「体感」したのでした。

 それ以来、男性から人気があって、よくモテる女の子ほど、男性に真っ向から反論していったりしないし(しかも、相手を論破しちゃったりなんてしないですし…)、モノゴトを引き受けるにしても、お願いするにしても、モノの言い方がやわらかいことに気が付きました。

男性に言ってはダメ!3つのタブー

 では、男心を「反発」させてしまう、タブーの言い方はどんなものかというと…、

1 他の人もいる(公衆の面前)のに、彼の過ちや間違いを本人に指摘する。

2 「なんで、できないの?」「言われる前にやっておきなさいよ」「いい加減にしたら」「考えてやってる?」など、相手をちょっと小バカにした言い方や、やれやれ…というあきらめニュアンスで相手に話しかけてしまう。

3 そもそも、うちの会社(自分の周囲にいる)の男ってバカばっかだし〜と思っている。

①他の人もいる(公衆の面前)のに、彼の過ちや間違いを本人に指摘する。

 ①に関して言うと、これは逆に考えてみたとき、自分がみんなの見ている前で怒られたり、罵倒されたりしたらイヤだなぁと、たいていの人は思うはずです。

 プライドが高く、恥をかくことに慣れていない、打たれ弱い男の子なら、なおのことイヤがるはずです。最近は、女性上司に怒られて、うつ病になる男子も増えています。男性の仕事のミスは、二人きりのときにこっそりと、できるだけやさしく指摘してあげましょう。


②「なんで、できないの?」「言われる前にやっておきなさいよ」「いい加減にしたら」「考えてやってる?」など、相手をちょっと小バカにした言い方や、やれやれ…というあきらめニュアンスで相手に話しかけてしまう。

 仕事の後輩や、出入りの業者さんに②のような言い方をする人は女性・男性問わず、けっこう多いものです。しかし、男性から「モテる」女性は、仕事上で男性に何か言うときも、
「…そろそろ、お願いしてもいいかな」
「ここは、こうしてみたらどうかな?」
「もう終わってます。できることがあったら手伝いましょうか?」
と、ひと味違った言い方をしています。なんで、私が男性にそこまで気を遣わないといけないの! と思いたい気持ちはわかりますが、今後の「モテ」にツナげたいのなら、このまどろっこしい言い方を身につけてみてもいいかもしれません。


③そもそも、うちの会社(自分の周囲にいる)の男ってバカばっかだし〜と思っている。

 ③ですが、こういう気持ちは自分では上手に隠しているつもりでも、相手に確実に伝わってしまうものです。人は誰でも「好かれていることより、嫌われていることに敏感」なのかもしれません。

 自分の周囲にいる人は、どんな人もめぐりあわせで、今、そばにいるべき人なんだと思います。30代女子は、ちょっと、そういうサトったような気持ちで、周囲の人とコミュニケーションを取ってみましょう。

3つのタブーにプラスアルファ:SEXに関する話題

 気をつければいいのは、3点だけです。明日から、ぜひチャレンジしてみてください。 最後に、補足としてSEXに関する話をしますと、気の置けない女同士でそういう話をするのはOKですが、男性は女性からSEXの話を持ち出されることに慣れていない場合が多いものです。

 特に、男性の性癖やテクニックや身体的特徴について、女性が、その直後にダイレクトに文句をったりする(否定したりする)と、大きくキズついてしまうこともあります。

 その点も気をつけてあげてほしいなぁと思います。

酒井冬雪
エッセイスト
1969年東京生まれ。広告代理店で役員秘書をするというOL経験を経て、1995年、 結婚マニュアル「バカゲット」(双葉文庫)でデビュー。以来、主に「どうすればモテるか?」をテーマにしたエッセイを書いている。著書に「ココロが命じる恋をしよう」(三笠王様文庫)、「理系のための恋愛論」(毎日コミュニケーションズ)、「結婚に至る恋愛、至らない恋愛」(WAVE出版)、共著に「ITと文明」(NTT出版)がある。
(MSN)
http://partner.jp.msn.com/landing/CPLanding.aspx?cpp=jpn/cnt/thirties/44.html&avo=1&MTS=1(関連サイト)