痴漢に間違われたとき

キャ〜! チカン!!

という女性の悲鳴に周囲を見渡すと、えっ、指を指されているのは…自分!? 説明する暇もなく、周囲の乗客に捕まり、警察に引き渡されるハメに。何でこうなるの?

こんな痴漢冤罪がいまだ後を絶ちません。東京地裁では痴漢冤罪裁判が毎月20件ほど行われており、その数はここ数年変わっていないそうです。

「当方の窓口には、週1件ほどの相談が舞い込んできています。相談を通して感じますが、取り調べにおいて『男性側の言い分はほぼ聞き入れられない』という状況は、まったく変わっていません」(痴漢冤罪ネットワーク事務局)

なかには、示談金を目当てに架空の痴漢をでっちあげる悪質な事例もあるんだとか。いったいどうやって痴漢冤罪を防げばいいのだろう…。ネット上であれこれ調べてみたところ、その対処法は大きく次の2つに集約されるようでした。

●正々堂々と身分を明かせ!
「駅の事務室に行くと罪を認めることになるので、名刺を渡すなどして身分を明かし、その場はひとまず立ち去るべき。刑事訴訟法217条により、住所・氏名が明らかな人は現行犯逮捕できないことになっている!」

●とにかく逃げる!
「自分はやっていないと言い張っても、女性や周囲の乗客、警察は聞く耳を持たない。トラブルを回避するなら速攻で逃げるべし!」

この対策は本当に有効? 弁護士の落合洋司氏に聞いてみましょう。

「まず、身元が明らかになっていれば現行犯逮捕されない、というのは誤りです。逃亡の恐れ、罪証隠滅の恐れから現行犯逮捕されることはよくあります。一方、逃げることは犯行を強く推測させるうえ、転落事故などを誘発する可能性もあり、決して得策ではありません」(落合氏)

被害者から問い詰められたら、できるだけ落ち着いて説明し、誤解を解くことが望ましい、と。しかし、真摯な説明もむなしく警察を呼ばれ、逮捕されてしまったら!?

「周囲の人に声をかけ、証人になってくれる人を確保しましょう。逮捕されたら、当番弁護士制度などを利用し、できるだけ早く弁護士を選任しましょう。これで、痴漢したかのような調書を取られたりすることが防げます」(落合氏)

最近では、「被疑者の手の繊維痕」から痴漢行為の有無を鑑定する科学的捜査手法もあるそう。無実を主張するなら、それら科学的捜査の採用を申し出るのも有効でしょうか。

「ただ、犯人に似ているからという理由だけで、事件から数日後に逮捕されたという信じられない事例もあります。対策は『電車に乗らないこと』としか言えませんね」(痴漢冤罪ネットワーク事務局)

といわれても、会社に通っている限り、朝のラッシュを避けることは困難ですよね。「男性専用車両の導入を!」なんて話もチラホラ話題になるようですが、それはそれでまた別の加害者&被害者が発生する気が…。

うーん、何とももどかしい。ボクらが取れる対策らしい対策は、普段から女性客のそばを避け、どうやっても触れない状況を強烈にアピールする「バンザイ乗車」しかないのかも!?
R25編集部、nifty