15年ぶり「消失」

 土星の輪が見えなくなる「消失現象」が約15年ぶりに起こる。地球から見て輪が真横に位置するためで、しし座の方向にある土星の輪が、次第に細くなる様子が観察できる。

 国立天文台(東京都三鷹市)などによると、土星の輪は氷粒が集まったものと考えられ、一つの大きな輪のように見えるが、複数の輪で構成されている。一番幅広いもので2万5000キロあるが、厚みは最新の研究で、わずか数十メートルと報告されている。

 土星は太陽の周りを約30年かけて一周する。その軌道面から約27度傾いており、輪も同じように傾いている。地球から見ると、15年周期で輪の傾きが変化する。

 前回は95年ごろに消失現象がみられた。今回は9月4日に地球から輪が真横に見える位置関係になる。また8月11日には、太陽から見て輪が真横になり、光が当たらずに輪が暗くなる現象が起きる。いずれも、日没直後の低い空に位置するため観測が難しく、「薄くなった輪を見るなら今がチャンス」。口径5センチ以上の天体望遠鏡があれば、輪が見えない土星の観測はできるが、消えかかった輪を確認するには、天文台などに設置された口径1メートル級の大型望遠鏡が必要という。

 東京では、6月下旬の午後8時ごろ、南西の高さ40度ぐらいの空に土星が見える。国立天文台(電話0422・34・3600)では27日の定例観望会(午後7時半〜同8時半)で、土星を観察する予定。
【下桐実雅子、元村有希子】(YAHOO!JAPAN)