糖尿病患者が急増!

2010年4月13日、中華医学会糖尿病分科会は中国における糖尿病に関する調査結果を発表した。同調査がはじき出した推算によると、20歳以上の成人のうち全国で9240万人が糖尿病を患っており、1億4800万人が「予備軍」となっている。つまり、成人の4人に1人が糖尿病患者あるいはその予備軍という状況。この数字はインドを超え世界で1位だという。科学新聞が伝えた。

同調査は中日友好医院内分泌科の主任楊文英(ヤン・ウェンイン)医師を筆頭としたグループが実施。今年3月末に、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに発表した。07〜08年にかけて14の省・市で実施され、5万4240人のボランティアが調査対象となった。調査の結果、糖尿病は20〜39歳の若年層でも増え始めていることが判明。3.2%が発症、9.0%が予備軍と言われる。

02年の段階では、25〜64歳の年齢層に占める糖尿病患者はわずかに5.5%であり、インドに次いで2位だった。今回の急激な増加の背景には、前回の調査方法の問題もあった。前回は空腹時の血糖値計測という厳密性に欠けたため、70%の糖尿病患者発見に漏れがあったという。そのため、今回は被験者の空腹時の血糖値を計った上で、ブドウ糖を摂取させ時間をおいて血糖値を検査していく「糖尿病負荷検査」を実施した。

それにしても患者数の増加傾向は否めない。その原因は、第一に生活水準の向上により食事が高脂肪・高たんぱく質に偏っていること。第二に社会の高齢化が挙げられ、60歳以上の20%が糖尿病患者という。また、都市部における患者数は、全住民の9〜10%を占め、これはアメリカの7%を超える水準。その一方、全患者数の約半数は農村出身者であるという現実も。糖尿病への知識不足、生活スタイル改善に対する意識不足、農業の機械化による肉体労働の減少がその原因。また医療機関の受診に消極的な傾向もあり、農村部には「隠れ患者」も多数存在すると推測される。

経済的な負担は治療よりも予防の方が軽いのだが、啓蒙活動もうまくいっていないため、発病してから治療に臨む人も多い。さらに中華医学会糖尿病分科会の紀立農(ジー・リーノン)医師は「医薬品企業は欧米より50年遅れている。薬事法の改善も含め、国ぐるみで対策を急ぐべきだ」と語った。(翻訳・編集/小坂)

niftyニュース、http://news.nifty.com/cs/world/chinadetail/rcdc-20100417001/1.htm