俺が出るぞ!

 菅直人首相(63)、小沢一郎前幹事長(68)によるガチンコ勝負の9・14民主党代表選。1日の告示直前まで鳩山由紀夫前首相らが、激突回避に向けて一本化調整に動いたが、土壇場で決裂した背景には、「脱小沢」路線を旗印に、首相再選を支持する前原誠司国土交通相(48)の“出馬宣言”があった。一体、どんな駆け引きがあったのか−。

 「国民の目からみて不透明な取引をするべきではない。ポストを約束して一本化するのは厳に慎むべきだ。代表選をしても党が割れることはない」

 前原氏は告示前日の8月31日の記者会見で、民主党代表選をめぐって首相と小沢氏による会談で、小沢氏の出馬回避を探る動きがでていることをこう批判した。

 背景には、鳩山氏や輿石東参院議員会長らが一本化調整を仕掛けていたことがある。実際、前日の30日夜に鳩山氏が首相公邸を訪れ、「脱小沢」の旗を降ろし、首相と小沢、鳩山両氏の「トロイカ」に輿石氏を加えた集団指導体制の復活を提案した。

 これに首相が集団指導体制の復活自体は「異存はない」と飛びついた。しかし、前原氏は「脱小沢」路線の放棄と受け止め、猛反発。「小沢氏と妥協するようなら、(代表選に)自分が出る」と首相を“恫喝”したのだ。

 前原氏は高速道路料金見直し問題で厳しく小沢氏を批判するなど、「反小沢」勢力の代表格。それだけに、小沢氏復権を許すような首相の安易な妥協を許すことができなかったわけだ。

 結局、首相は翌31日朝になって両雄対決に臨む腹を固めた。

 一連の駆け引きについて、前原氏周辺は「『剛腕』相手に弱気の虫がでてきた首相の背中を押した」と解説するが、実際は首相が前原氏の恫喝に屈服した格好だ。


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