33人全員が生還


 【サンホセ鉱山(チリ北部)=松尾理也】チリ北部のサンホセ鉱山に作業員33人が閉じ込められた落盤事故の救出作業は13日午後10時(日本時間14日午前10時)前、最後に地下に残った1人の引き上げに成功、全員の救出作業を完了した。2カ月余りにわたって地下に閉じ込められた33人の「奇跡の救出」劇は、予想以上の順調さで無事、大団円を迎えた。

 12日深夜に始まった33人の救出作業は、日中に入ってさらにペースが加速。48時間程度かかるとされていた当初の見通しを大きく短縮して、丸1日足らずでの完了にこぎ着けた。

 最後に救出されたのは、事故発生から生存確認までの17日間、強い指導力を発揮して限られた食料の配分などをやってのけた現場監督のルイス・ウルスアさん(54)。32人の仲間を励ました後、重圧のかかる“最後の1人”という大役を務め上げた。

 マニャリク保健相が救出作業完了を前に行った会見によると、救出されたうち7人が集中治療室で治療を受け、うち1人は急性肺炎であることが明らかになった。また、重度の歯の感染症も2人にみられるという。

 チリ政府は今後、精神面も含めた33人に対する手厚いケアを続行する。

 ピニェラ大統領自ら陣頭指揮を執りつつ、世界的な注目を集めて開始された救出作戦は、事実上トラブルなしで任務を完了。チリの国力を国際社会に大きくアピールする結果ともなった。

(MSN産経ニュース、http://sankei.jp.msn.com/world/america/101014/amr1010140959007-n1.htm