大手8社の“金持ち度”

「5年間全社員を草むしりさせても、今のレベルの給与を払える」

 期間従業員のリストラを発表した大企業の経営陣がこう話していたと、ある経済ジャーナリストが暴露する。米国金融危機のあおりで一気に冷え込んだ消費。人員削減は苦渋の選択だったように見えるが、なんのなんの、大企業はまだまだ懐に内部留保やキャッシュを十分ため込んでいるのだ。

 一覧表は、期間従業員派遣社員、請負社員などの削減を決めた大手8社の“金持ち度”だ。直近の有価証券報告書(四半期、半期含む)に記載された内部留保(利益剰余金)や、現金、定期預金、流動性のある有価証券の金額は、兆円単位の数字がずらりと並ぶ。今でこそ各社が業績の下方修正や赤字を連発しているが、思い返せば、その多くは、08年3月期決算で過去最高益を上げるほどウハウハだったのだから当然だ。好業績に合わせて、役員報酬もどんどん膨らんだ。


●内部保留は兆規模、キャッシュもたっぷり

 もちろん内部留保は、新たな設備投資など企業の成長に充てる大事なカネではある。キャッシュだって手元に置いておけば安心だろう。が、一方で、年収300万円程度の派遣社員は住む家まで奪われる。この世はどこか矛盾していないか?

「余裕のある会社ほど早めにリストラに動いていますね。経営者は口先では『(雇用を)努力する』と言っていますが、本心は、非正規社員はリースした設備と一緒で、余ったら返せばいいと考えている。人間としてカウントしてなどいません。むしろ、小泉政権の04年に製造業向けの派遣が解禁されたことで、今回のリストラでは正社員に大きく手をつけずに済みホッとしていますよ」(経済ジャーナリスト・有森隆氏)

 ここでも小泉規制改革の弊害が庶民を苦しめている。こりゃもう、非正規社員は暴動を起こすしかない。


◇企業名/内部留保/現金、定期預金など/役員報酬(平均)

キヤノン/2兆9050億円/8873億円/5004万円

トヨタ/12兆6658億円/2兆5845億円/1億2200万円

◆日産/2兆8204億円/5039億円/3億5583万円

◆ホンダ/5兆3629億円/9544億円/6057万円

ソニー/2兆850億円/1兆1761億円/2億8986万円

◆シャープ/8341億円/3270億円/1億1030万円

東芝/7166億円/2667億円/6087万円

コマツ/7911億円/774億円/1億3571万円

日刊ゲンダイ2008年12月18日掲載)
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