どうなる日本

 平成20年の日本経済は、9月の米大手証券リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)を境に一変した。その後、わずか3カ月の間に誰も経験したことのない猛烈なスピードで経済指標が大幅に悪化。企業の減産や人員削減は、急激な変化に追い立てられ、歯止めがかからない。坂道を転げ落ちるどころか、真っ逆さまに落ち込む国内景気は、いつ底を打ち、回復に転じるのか。

 「リーマン・ショック」「ソニー・ショック」「トヨタ・ショック」。9月以降の日本経済は、まさにショックの連続だった。


 「100年に1度の大津波」の震源となったリーマン破綻は、世界の金融市場を一瞬でまひさせた。


 金融危機実体経済に波及。日米欧に加え、急成長を続けてきた新興国にも及び、世界同時不況の様相を呈している。


 日本は昨年後半に戦後最長の景気回復が終焉(しゅうえん)し後退局面に入ったとみられているが、今夏の金融危機の当初は、「後退は短く浅い」との見方が大勢だった。しかし、輸出の急激な落ち込みで、生産が低迷し業績が悪化。雇用や賃金へと波及し消費が冷え込み、その結果、売り上げが落ち込み業績が悪化するという“負の連鎖”が加速し、楽観シナリオは吹き飛んだ。


 トヨタ自動車が21年3月期に創業以来初の営業赤字に転落し、ソニーが全世界で1万6000人ものリストラに踏み切るのは、外需依存の日本経済の弱点を象徴している。


 21年の国内景気はどうなるのか。誰も経験したことのない超高速の後退のため、予測も大混乱している。


 日銀の金融経済月報は、当面の景気見通しについて、11月25日時点では「停滞色の強い状態が続く」としていたが、12月22日には「厳しさを増す」へとわずか1カ月で大幅な修正を余儀なくされた。


 12月19日に発表された21年度の政府経済見通しも、実質GDP(国内総生産)成長率が0・0%となったが、「達成は到底不可能で目標や希望に過ぎない」(民間エコノミスト)との見方が大勢となっている。


 第一生命経済研究所はリーマン破綻直前の9月12日時点で、21年度の成長率を1・5%と予測していたが、10月17日に0・3%、11月19日にマイナス0・5%、12月10日にはマイナス1・1%と立て続けに下方修正した。


 同研究所の新家義貴・主任エコノミストは「10月以降の景気は、9月以前と姿がまったく変わった」と指摘。「景気調整は軽微にとどまる」とした従来シナリオを維持できなくなった理由を説明する。


 大和総研も9月12日時点の1・1%から11月20日にマイナス1・0%に修正。三菱総合研究所は11月18日のマイナス0・2%から12月9日にはマイナス0・4%へと引き下げており、21年度はマイナス成長予測が共通認識となっている。


 回復時期についても、第一生命経済研究所では「21年10〜12月期にマイナス成長から脱するが、プラス1%台の潜在成長ペースに復帰するのは22年4〜6月期になる」としており、今回の景気後退は長く厳しいものとなる可能性が高い。
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