風とインフルエンザ

〜風邪・インフルエンザの性質〜


●風邪・インフルエンザは乾燥が好き

風邪の原因のほとんどはウイルスによるもので、約200種類ものウイルスが「風邪の原因」として確認されている。特に悪質なのが、ご存じインフルエンザ・ウイルス!そのウイルスが好きな環境が「乾燥」。
さらに人間の側にとって都合が悪いことに、ウイルス侵入を防ぐ第一の門「のど」が乾燥すると、異物(ウイルス)を排除するはたらきが弱まってしまうのだ。


●どのように人の体に侵入してくるのか

風邪は人の体でどのように進行していくのだろうか。その様子を見てみよう。 <鼻・のどの奥に
ウイルスが取り付く>

自己免疫力(自分のことを守ろうとする力)がはたらいているうちは、鼻やのどの粘液分泌細胞から粘液が出て、ウイルスを洗い流してくれる。さらに、そのウイルスを含んだ粘液(たんなど)をせん毛細胞がほうきのようにはたらいて外に掃き出してくれるのだ。この自己免疫力が弱ってくると、ウイルスを外に掃き出すことができず、風邪にかかってしまう。
<弱みに付け込んで
進行>

たいていは、何種類かのウイルスが取りついている。1時間後には100個、さらに1日経つと100万個に増え、細胞を破って外に飛び出す。それを体は外へ流そうとするため、鼻水がひどくなる。つまり鼻水が多く出るようになっている時には、すでにウイルスは細胞にまで侵入しているのだ。
<発熱サイン!>

血液中のマクロファージ(白血球)は、入ってきて爆発的に増えたウイルスを食べ続け、なんとか数を減らそうとする。同時に視床下部の体温中枢に「発熱してくれ!」のサインを送る。
<体を休ませろ!
サイン>

ウイルスが好きなのが、35〜36度なので、それ以上の発熱で増えなくなってくる。同時に熱が上がると、ウイルスに対抗する免疫物質が活発になり、ウイルスをやっつける。また発熱で関節などが痛くなるが、これで体が動かない=休むことができる。
<回復へ向かう>

ここで順調に回復すれば、再びかかることは少ない。インフルエンザの場合、1回目の感染では体の中に抗体ができるのに約1週間かかる。しかし一度そのウイルスに感染した後には、体の中を抗体を作るリンパ球がパトロールし、2回目にはたった1日で抗体を作ってしまうので、同じ型にはかかりにくくなっているというワケ。ただし、別のタイプの細菌が侵入してくると、また風邪をひいてしまうのだ。


●風邪とインフルエンザはどこが違う?

風邪といえば、鼻水、せき、くしゃみ、のどの痛み、頭痛、悪寒、だるい、体の節々が痛い、などが主な症状。それに比べ、インフルエンザは急に高い熱(38度〜40度程度)が出て全身に悪化症状が出るのが特徴だ。重症化すると気管支炎や肺炎に発展してしまう。普通の風邪が流行しても死亡者はあまり増えないが、インフルエンザが流行すると特に65歳以上の高齢者で死亡率が高くなる。


〜予防接種はどうする?〜


●インフルエンザの予防接種とは?

予防接種は1回で終わりではない
インフルエンザの感染の予防、また、万一感染しても軽くすむのに有効なのが予防接種だといわれている。しかし、インフルエンザの予防接種は1回で一生効果があるものではない。インフルエンザのウイルスには多様な種類があり、すべてに対抗できるワクチンは作れないからだ。現在インフルエンザのワクチンは、毎年、“その年にはやりそうなウイルスの型”を予測し、それに対抗するものが作られているのである。つまり、予防接種でインフルエンザを防ごうとするのなら、毎年接種する必要があるのだ。
もちろん、予測した型と実際に流行するインフルエンザの型とが異なることもある。しかし、毎年予防接種を受けている人は、免疫が蓄積するので、かかった場合でも軽くすむケースが多いようだ。

(予防接種の前に相談が必要と思われる人
・たまごアレルギー  ・妊婦
・発熱をしている人  ・体力が低下している人
・重症の急性疾患にかかっている人   など)


●治療が無理なら「予防」をしよう!

市販の風邪薬は風邪の諸症状をおさえることはできても、ウイルスを直接やっつけてくれるものでは全くない。かかってしまったら、もう休むより仕方がないのだ。手立ては「予防」しかない。
しかし忙しい働き盛りは、疲れている時や、睡眠不足の時にも、人ごみ行かなければならない時もある。うがい・手洗いを敢行したくても、できない条件もあるだろう。
ならばひとつの手段として予防接種を受けよう!予防接種は子供や高齢者だけのものではない。


●効果80%!?

働き盛り層がインフルエンザ接種をあまり受けない理由のひとつが「忙しいから」 の他に、保険がきかず、完全に自費払いだということかもしれない。子供や高齢者ならば命に関わることもあって、ためらいは少ないが、自費でお金を払ってそれで、接種したものとは違うタイプにかかっては意味がないではないか?と思えるからだ。特にこの層は子供の時、そうしてインフルエンザにかかったという経験者が多い。
しかし、人間側もウイルスに対して、ずっと手をこまねいていたわけではない。WHOの指導のもと、世界各国の専門機関が協力を進めた結果、流行タイプの予想はここ10年では当たっている!つまり、作られているワクチンも有効ということだ。しかも、その効果は大きく、約8割ともいわれている。
(MSN)