失業者

●この期に及んでインチキ数字のデタラメ政府

 これから春先にかけて、一体どれだけの派遣切りが行われるのか。衝撃的だったのが28日、製造派遣・請負会社の業界団体などが発表した「3月末までに40万人が職を失う」という数字だ。厚労省は昨年12月26日、非正規労働者全体の失業者見込みを、ほぼ同期間で8万5000人と発表した。「役所の発表なんてこんなもの」と言ってしまえばそれまでだが、ケタ違いのインチキ的な数字だったことになる。

 今後、失業者はどれだけ増えるのか。製造業派遣の大手・日総工産の清水唯雄会長(72)は、日本経済新聞(23日付)のインタビューにこう答えている。

「ピークの2007年末には製造業派遣全体で、約100万人が働いていた。昨年末までに40万〜50万人が職を失ったようだ。3月末までに30万人程度まで落ち込むとみている」

 つまり、今年3月末までに、70万人の製造業派遣が失業すると予想しているのだ。2009年3月には、製造業派遣の契約切れが集中する。いわゆる「2009年問題」だ。これにドロ沼不況が追い打ちをかける。冗談ではなく、街には失業者があふれることになる。

 民間シンクタンクのリポートにも、厳しい数字がズラリだ。

「2009年半ばにかけて、雇用は170万人程度減少する可能性がある。雇用削減のスピードは、前回の景気後退局面だったITバブル崩壊後の雇用削減に比べて約3倍」(大和総研

「失業者数は、09年度に140万人程度、10年度は50万人程度増える」(第一生命経済研究所

 どんなに少なく見積もっても、70万〜100万人は職を失うことになるのだろう。

 厚労省は「8万5000人」という数字の積算根拠について、「全国の労働局と公共職業安定所が企業に聞き取り調査を行った結果」というが、どれだけ幅広く企業に調査をしたのかは怪しい。

「可能な限り多くの企業を調査しようとしたが、中には答えたくないという企業もあった」(厚労省雇用政策課)とか言うのだ。

 麻生首相は28日の施政方針演説で、「3年間で160万人の雇用創出を目指す」と言った。3カ月で160万人ではない。この期に及んで、あまりにも悠長で無責任な話だ。

日刊ゲンダイ2009年1月29日掲載)
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