過度の飲酒にご注意を!


 人気グループ「SMAP」のメンバー、草なぎ剛容疑者(34)が23日、公然わいせつの現行犯で、警視庁に逮捕された。公園で全裸になって大声をあげていたという。呼気からは多量のアルコール分が検出され、過度の飲酒が原因とみられている。適正な飲酒量であれば気分を楽しくすることにつながるお酒だが、一歩間違えれば、犯罪・迷惑行為につながったり、健康を害したりする危険が潜んでいる。(森本昌彦)

 ◆0・8ミリグラムの検出

 逮捕後、草なぎ容疑者の呼気1リットルから検出されたアルコール分は0・8ミリグラム。道路交通法で定める酒気帯び運転は0・15〜0・25ミリグラム未満、0・25ミリグラム以上だから、尋常な量ではない。どれくらい飲めば、そんな状態になるのか。

 独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター」(神奈川県横須賀市)の副院長、樋口進さん(54)は「飲み始めからの経過時間が関係する。仮に体重60キロの人が飲み始めから5時間たっていたとすると、日本酒で最低でも7合近く飲んでいる計算だ」と説明する。

 血中アルコール濃度に換算すると0・16%程度になるといい、その場合、症状として、ろれつが回らなくなる▽まともに歩くことができない▽物が2つに見えることがある▽突拍子もないことをする−などの可能性があるという。

 ◆日本は飲酒量増加

 飲酒をめぐるトラブルといえば、先進7カ国財務相中央銀行総裁会議G7)での中川昭一財務相の“酩酊(めいてい)会見”が記憶に新しい。ただ、中川元財務相は「風邪薬などの飲み過ぎ」としており、飲酒によるものかどうか定かではない。

 果たして飲酒だけで草なぎ容疑者のような状態になることはあるのか。「たくさん飲めば、あってもおかしくはない。普段から酒癖が悪いといわれる人は特になりやすい」と樋口さん。草なぎ容疑者は「大の酒好き」として知られていたというが、今回の騒ぎは人ごとではない。日本人のアルコール消費量は、この四半世紀で増えているからだ。

 国税庁の「酒のしおり」によると、人口1人当たりのアルコール消費量は日本が昭和52年の5・1リットルから平成15年には6・5リットルと27・5ポイント増加。これに対し、フランスは43・3ポイント減、イタリアは43・0ポイント減と欧州の多くで減少しているほか、米国も18・1%減っている。

 ◆現実を認識して

 厚生労働省などが提唱する「節度ある適正な飲酒」は、純アルコール量で1日平均20グラム。ビールなら中瓶1本、清酒なら1合弱という量だ。

 樋口さんは「一定量を超えて飲むことは良くないという意識を持つことが重要だ。酒を飲んだら無礼講というような考え方もあるが、度を超えると取り返しがつかなくなることもある。そういった現実をもう少し認識する必要があるのでは」と意識改善を訴える。

 草なぎ容疑者が飲酒時にどんな心理状態だったかは不明だが、ストレスから飲酒に走る人もいる。社団法人アルコール健康医学協会(東京都文京区)の常務理事、古屋賢隆さん(67)は「少なくとも飲んだときにはストレスを忘れられると一般的には言われるが、本質的な解決にはつながらない。自分のペースで楽しく適正な量を食べながら飲むのが重要だ」と話している。
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