埋蔵金

 農水省に「埋蔵金」350億円が眠っていた。関係団体に補助金を投入してつくった基金の残高が、計353億円に上ることが分かったのだ。全く活用されていなかった。会計検査院は9日、農相と林野庁長官に対し、国庫に返還させるなどの改善を求めた。こうした基金霞が関埋蔵金」のひとつに当たり、検査院は「国の財政が厳しい中、有効に活用するべきだ」と指摘した。検査院は、07年度までに同省の7事業で、任意団体や組合などに設けた226の基金を調査。総額約617億円分のうち、国庫補助金充当分の計約353億円が使われていないことを突き止めた。

 07年度に始まった「農地・水・環境保全向上対策」では、2年間に27道県の地域協議会へ計約354億円の補助金が交付され、109の基金が地域ぐるみで共同営農する団体に拠出。しかし、08年度末には基金残高が計約88億円に上り、拠出先の1万以上の団体でも計約35億円が繰り越されていた。

 また、将来の林業経営者を育成する全国森林組合連合会の「緑の雇用担い手対策」でも、基金残高が約82億円もあった。02年度から始まり、残高が年々膨れ上がっていたのに毎年度約67億〜95億円の補助金が出ていた。いずれも実施期間後の11年度末に残高の返還を定めていたものの、検査院は需要予測の甘さを指摘し、前倒しでの返納を求めた。このほか、財団法人「中央果実生産出荷安定基金協会」は果樹対策基金で当面使わない資金を地方債で運用していたが、一部運用益が74年以降から剰余積立金として手付かずで残り、約77億円もため込み、ずさんな経理処理もあった。

 同省の担当幹部は、検査院の指摘に「政務三役が判断するのでコメントできない」と話した。

日刊ゲンダイnifty