高級ホテルのバイキング、儲けのカラクリは意外なところにあった

 ローストビーフやズワイ蟹など高級食材を目玉にした高級ホテルのバイキングが人気だ。ホテル側は、はたして利益が出ているのだろうか。

 帝国ホテルやホテルオークラなどの高級ホテルで、ランチバイキング(2500円〜5000円程度)やケーキバイキング(1500円〜3000円程度)など食べ放題のサービス「ホテルバイキング」が定着している。

 これまでバイキングといえば焼肉店や寿司屋などの専門店がファミリー層獲得のために手ごろな定額料金で行う食べ放題サービスという印象が強かったが、最近ではローストビーフ、ズワイ蟹など高級食材を盛り込んだ一流ホテルのバイキングが女性に好評を博している。

 利用した客からは「高級食材をバイキングで提供したら利益は出ないはず。宿泊客集めの苦肉の策なのでは?」と疑問の声もあがるが、はたしてどのようなカラクリになっているのか。

 結論から言えば、バイキングでホテル側はしっかりと儲けている。ホテルのバイキングでは20〜30種類の料理が並べられているが、ローストビーフ、ズワイ蟹など高級食材が目玉商品として目立っている一方で、その他のメニューは比較的原価のかからないサラダやスクランブルエッグが中心だ。そのためトータルでは1人3000円の価格設定でも儲けの出るメニュー構成となっているのだ。

 他にもバイキングの強みが2点ある。それが「在庫」と「人件費」。
 バイキングにおける在庫とは料理のこと。本来のレストランであればいつ注文を受けてもいいように、在庫を多めに用意しておく必要があるが、この場合注文が入らなかった時には大量の在庫が発生してしまう。テーブルに出ない食材は廃棄され、仕入れに要した原価はムダとなってしまうのだ。しかしバイキングならばあらかじめ限られたメニューのみを用意しておけば済むので仕入れコストを低減でき、さらに大量仕入れによるディスカウントも得られるのだ。

 また一般のレストランで食材とともにコストの中心となるのが人件費。フロアに複数のスタッフを配備する必要がある。しかしバイキングならば飲み物さえもセルフサービスなので、数人のスタッフで回すことができる。グループで訪れた客がワイワイと料理を盛る一方で、人件費をかなり圧縮できるのだ。

 主婦やOLを中心に手ごろな価格で高級料理を堪能したい人にとって「ホテルバイキング」は良い機会となっている。

(MONEYzine、http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/moneyzine-20091123-181589/1.htm