猫舌のメカニズム

熱〜いラーメンをフーフーして食べる猫舌の友人を見てふと疑問がわいた。猫舌の原因ってなんだろう? 朝日大学歯学部の硲哲崇教授に詳しい話を聞いてみた。

「食の好き嫌いは母子で一致するというデータがあります。母親が嫌いなものは、子どもにも与えないからでしょう。同じように、母親が猫舌ならば子どもにも熱いものを与えませんから、熱いものを食べるトレーニングができずに大人になっても猫舌のままの可能性があるかもしれません」

身体的な違いはないのでしょうか?

「よく言われるのは口腔内や舌の角質層の厚さ。個人差もあるし、年齢を重ねると厚くもなります。ただ、その差はマイクロメートル単位。直接の原因とは考えにくい。むしろ、食べ方や飲み方の違いだと思います。猫舌の人は、熱さを感じる温点が集中している舌の先で食べているのではないでしょうか。温点が少ない舌の中央に持っていけば熱さをあまり感じませんし、空気も一緒に吸い込む形になるので冷めやすくもあります。ただし、熱さを感じにくいからといって、ヤケドをしないわけではありません。口腔内のヤケドは舌炎や口内炎の原因にもなるので、医学的には無理に猫舌を治す必要はまったくありません」

ちなみに、こんな器用な食べ方は人間だけ。鹿児島大学農学部獣医学科の川崎安亮教授いわく「動物はすべて猫舌」とのこと。

「熱すぎると痛みを感じるので手をつけないと思います。野生動物が口をヤケドすると、エサを食べられなくなる恐れがあり、生死に関わります」

動物はみな熱いものを食べないのに、なぜ“猫”舌と呼ばれるのでしょうか?

「猫は昔から人間に近い場所で飼われているので、熱いものを食べない姿が特に目立ったのかもしれません」

ただ、最近では長いこと人に飼われて、温かい食べ物に慣れ、猫舌でなくなる猫もいるのだとか。猫舌じゃない猫。なんだか変な感じです。
R25編集部)
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