真央を守れ

 【全州(韓国)26日】フィギュアスケートバンクーバー五輪日本代表・浅田真央(19)=中京大=が、27日に開幕する四大陸選手権に向け公式練習を行った。2回の練習ではトリプルアクセル(3回転半)に17回挑み、14回成功させるなど絶好調。もっとも、ライバルの金妍児(19)=キム・ヨナ、韓国=の母国で高まる人気には危険もはらんでおり、大会側は警備会社の真央専属チームを用意し、完全ガードを敷いた。

 ♪とんで、とんで、とんで…。27日のショートプログラム(SP)を控えた26日午後の公式練習。フリーの前奏曲「鐘」を一通り滑った真央は、怒涛(どとう)のジャンプ練習に突入した。課題の3回転半を完ぺきな着氷で次々に決めると、日韓報道陣からは思わずどよめき。結局、午前も含め計80分の練習で17回も3回転半に挑み、うち14回を成功させた。

 「3回転半はしっかりいい感覚をつかめています。たくさん跳んだ? いつもの練習よりは少ないです」。韓国メディアの要請で開かれた公式会見でのこぼれる真央スマイルは、絶好調の証だ。

 会見に韓国メディア約100人が詰めかけるなど注目が集まる真央には“護衛団”も結成された。会場や宿泊先の出入りに付き添うコワモテは、ソウル市内の大手警備会社「CHAM セキュリティー」の警備員たち。真央担当のチームを組み、コンビニに行く際も帯同するほどの徹底ガードを敷いている。

 身長1メートル80超の二十代前半の警備員は「職務上、チームの人数や名前は明かせない」としながらも、柔道の黒帯の持ち主であると明かした。他にもテコンドーの達人や「背が高くて韓流のイケメンもいる」(関係者)というから頼もしい。真央も「前に来た韓国の大会で見たことのある人も付いてくれているから心強い」とニッコリだ。

 完全ガードには理由がある。金メダル候補の真央と金妍児を巡り、高まる一方の日韓の期待。特にフィギュア初の五輪メダルを望む韓国では、過剰なまでのフィーバーが起きている。その結果、一部で不穏な空気も…。韓国のネット掲示板には「五輪前に真央の集中力を切らせよう」との書き込みがあり、今大会で「演技直前まで奇声を発して嫌がらせする」「サイン攻めにして困らせる」などの“提案”や“予告”があったという。

 1994年のリレハンメル五輪前にはナンシー・ケリガン(米国)がライバルのトーニャ・ハーディングの元夫に襲撃される事件も起きた。「そういうことが起こらないよう、周りは気をつけてあげなきゃいけない。韓国連盟も威信をかけて守ってくれている」と日本スケート連盟関係者。五輪前最後の実戦を無事こなせるよう、厳戒態勢が敷かれている。

 しかし、当の真央は周囲の緊張もどこ吹く風。「(全州発祥の)ビビンパを一度は食べて帰りたい! 試合が終わったらサムゲタンも食べたい!」。“護衛団”に守られた真央は天真爛漫(らんまん)、五輪前に最高の総仕上げを見せる。

MSN産経ニュースhttp://sankei.jp.msn.com/sports/other/100127/oth1001270740003-n1.htm