赤字法人申告漏れ!?

 全国の国税当局の過去3年間の調査で、赤字だったなどとして法人税のかからない赤字申告をした「無所得申告法人」のうち、実際には所得があったと認定され、申告漏れを指摘された総額が1兆8803億円に上っていたことが26日、分かった。このうち悪質な仮装・隠蔽を伴う所得隠しは総額5197億円だった。調査で「黒字」と判明した法人は全体の16%以上。重加算税を含む全体の追徴税額は1786億円だった。

 赤字や所得がゼロになったとして赤字申告した法人は法人税がかからない。景気の低迷で赤字申告になってしまう法人がある半面、故意に「所得は赤字」と仮装する法人もおり、国税当局は「申告に問題があると思われる法人は優先的に調査対象に取り上げている」と監視を強めている。

 国税当局によると、過去3年間の全国の無所得申告法人は延べ566万3000法人。このうち、全国の国税当局が計13万4000法人を税務調査したところ、実は法人税を支払わなければならない額の所得があった法人は、平成17年7月〜18年6月が16・8%▽18年7月〜19年6月が16・8%▽19年7月〜20年6月が16・0%−だった。


 調査した法人のうち、申告漏れが見つかったのは約9万3000法人。うち約3万2000法人が所得隠しと認定された。法人1件あたりの申告漏れ額は約1400万円だった。

 大阪国税局が管轄する近畿2府4県の法人では、同じ3年間で、全国を上回る約2割の法人が実際は黒字だった。申告漏れは1万6405法人で見つかり総額は2570億円。所得隠しと認定されたのは延べ5570法人で総額769億円。追徴税額は重加算税を含め345億円だった。

 このうち滋賀県内でラブホテルを経営する法人を調査したところ、伝票類を破棄するなどの方法で、5年間で売り上げ約1億4000万円を除外していたことが判明、重加算税を含めて約3800万円を追徴課税した。

 また、大阪府内の自動車部品輸出業者のケースは、4年間の海外事務所の諸経費計約1億1000万円を架空計上し、重加算税を含む約1700万円を追徴課税したという。
(MSN)